−−谷口さんならかなりおもしろい学生時代をすごしたに違いないと思って高校時代までお聞きしました。でも、けっこう“普通の女の子”ですね。大学時代はどうでしたか?
谷口 授業半分、遊びとアルバイトが残りの半分って感じでした。もうバイトが面白くて。いろんなことをしましたよ。清涼飲料水の宣伝で、でっかいハチの着ぐるみ着て、電動自転車こいでJR大阪駅の周りをおしり振ってぐるぐるぐるぐる回ったり。大阪のミナミではミシンガールになって1日中ミシンで何かを縫ってたり、生のレタスを通行人に配ったり…。
−−当時の大学生って、大体そんな日々でしたね
谷口 なあーんにも考えてなかったですよね。イベントサークルに所属して、スキーに行ったりバーベキューしたり、意味なく車で箕面や枚方までお茶しに行ったり。そういえば今話題の沖縄の辺野古に泊まったなあ。
−−うーん、やっぱり普通ですね。というわけで、あっという間に就職活動
谷口 3年生になる年明けから活動を開始しました。洋服が好きだったのでアパレルメーカーに絞って回りました。ワールド、オンワード樫山、レナウン、三陽商会…。会社四季報で調べて、規模が大きくて資産も豊富だった会社を本命にしました。そして、無事就職!
−−ラジオ局とかDJとかは、希望職種じゃなかったんですか?
谷口 全然。ヤンタン(MBSヤングタウン)とか、深夜放送はこっそりと聞いてましたけど、そういう仕事は特殊技能がある人か、家柄の良い人か、キレイな人がやるもんやって思ってましたからね。
−−で、社会人生活はどうでした?
谷口 最悪。もーホンマ最悪。だから1年2カ月で会社辞めました。
−−え? どうしてまた?
谷口 毎日、同じ時間に同じ電車で出勤、っていうのも耐えられなかったんですが、何より、1年のうち半年は上司と2人でレンタカー借りて出張、という生活がいやで…。西日本全部が私の管轄エリアで、Lサイズの婦人服を催し会場なんかで売るわけですよ。
−−お父さん、キレたでしょ。怖いですもんね
谷口 だから1カ月くらい、いえませんでした。毎日、同じ時間に家を出て、近くの公園のベンチに座ってハトにエサやってましたもん。
−−ほんとですか!
谷口 今でも覚えてますよ。毎朝8時前、阪急の仁川駅から梅田行きの準急で通勤してたから、その時間に家を出て、近くの公園に向かうんですよ。電車に乗って途中、一駅ずつ降りて梅田に行ったこともありました。通勤定期は切れてなかったから。でもそうこうするうちに梅雨の時期に入って、雨が降るわけですよ。そしたら公園は無理。雨で服ぐじゃぐじゃ、靴ぐじゃぐじゃ…。
−−それでとうとうご両親に報告した?
谷口 そう。意を決して言いました。そしたら父は「3カ月以内に新しい仕事見つからんかったら、家出ていけ」と、予想通りの反応。“働かざるもの食うべからず”の人やから。
−−人生最大のピンチですね
谷口 私は一人っ子なので、昔から「女も一生仕事しろ」って言われて育ちました。結婚したって、突然頼る人がいなくなるかもしれない。だから両親は私に看護師か医者か学校の先生になれって言ってましたね。(聞き手 岡田敏一)
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